要件定義とは、難しく単語化してますが、要するに実現したいことを要素に分けて整理する段階の事です。
制作会社によって要件定義の方法や、テンプレートはさまざまです。これから紹介するのは、一般的な、最低限これはやります、というのを紹介したいと思います。
大きく分けてこんな感じです。
- 制作・リニューアルの背景
- 目標設定
- コンセプト定義
- 実装したい機能
- サイトマップ
- スケジュール
- 予算
- 体制の確認
- 技術スタック
- インフラ(組織・仕組み)の確認
- 納品方法
これを、お客様と一緒に考えていきます。
先ほども言いましたが、制作会社や、あとは要件によってはこれよりも、もっと細かく考えることもあります。
なぜ要件定義が必要なのか
箇条書きにすると結構大変そうですよね。
でもこの、「要件定義」が無いと、制作途中で変更に対して柔軟に対応できなかったり、出来上がった後で何でこういう仕様なのかなど、確認が取れなくなります。「この機能何で実装したんだっけ?」など意外とよくあるんです笑。
後から見返せるように、後は色んな人が関わる現場では、いつ誰が途中からジョインしてもドキュメントを見るだけですぐに即戦力になるような環境ができていた方が制作は捗ります。そのためにも、時間をかけてでも要件定義はしっかりと行います。
では、先ほど箇条書きにして上げた要素を具体的に説明していきたいと思います。
制作・リニューアルの背景
これを設定せずして、サイトは作れません。設定せずに作れたとしても、それは目的を果たすためのサイトではなく、ただの作品になります。それくらい大事なことです。
このフェーズは、もうそのままです。
Q. 何で制作(リニューアル)したいんですか?
A. 新規顧客を獲得したいからです
全然これでオッケーです。そこから質問を増やしていき、お客様の想いを汲み取っていきます。
気楽にいきましょう。
目標設定
目標設定とは、先ほど少し出てきた“新規顧客を獲得したい”という漠然としたものではなく、数字を用いて明確に決める目標設定の事です。
例えば、「月に100万PV達成する」や、「お問い合わせからの受注で売上〇〇万円達成する」といった目標を設定します。
目標を明確にすることで、その目標に向かってどういう施策を取ればいいのか、トップページには何を載せればいいのか、どんな機能を実装すればいいのかなどの整理がつきやすくなります。
このフェーズでもあまり考えすぎると序盤で進行が止まってしまう可能性もあるので、経営状況を分析しながら、まずは思いつくままに設定してみましょう。大きく設定して後から調整するのもいいし、小さく設定して徐々に拡大していくのもいいと思います。もちろん、これも製作陣、担当者、経営者のみんなで考えるのが理想的です。
コンセプト定義
これはブランディングとの関わりの強いフェーズになってきます。
コンセプトとは、要件によって考え方も様々で、コーポレートサイトなら「自分達の事業で世の中をどうにかしたい」や、商品のブランドサイトなら「その商品が生活を豊かにする」など視点が変わったりもします。そしてこのコンセプトに基づいて、マーケティングの仕方やデザインなども考えます。
ここは、正直とても時間をかけたいところです。そのコンセプトをビシッと決めることで、売上にも影響するほどです。ブランディングを専門とするデザイン会社などは1年や2年かけて企業のブランディングをする場合もあります。
ただ、Webサイト(ホームページ)制作においてとても重要なポイントとはいえ、目的が「コンセプトを定義すること」だけに集中してしまうと、納期に間に合わないとか、デザインが進まないなどといったことにもなりかねません。
できれば時間はかけたいですが、かけすぎないようにするには、なるべく色んな人に意見を聞き、取り入れて、提案型ではなくみんなで一緒に考えていくのがいいと思っています。
コンセプト定義の内容ですが、専門的にやろうとすると専門家の手が入らないと本当に難しいです。よくある考え方としては、「タイトル+文章」を決める方法があります。
例として、大手企業のサイトから引用しますとこんな感じです。
タイトル:「おもしろいほうの未来へ」
文章(ステートメント):もしも道がふたつあったら…
https://www.au.com/brand/
こちらは、auのブランドサイトから引用したものです。とてもわかりやすいですね。ブランディングの方法が主旨では無いので、詳しくは解説しませんが、このようにキャッチコピーというよりは、もっと経営に寄り添った考え方をします。
実装したい機能
この時点で、実装したい機能をまとめておくと、エンジニアやデザイナーとの連携が取りやすくなります。できれば、「まぁこれは後でいいや」ではなくこの時点で実装したい事は話し尽くしておきたいです。その上で、「ここは後日実装」とスケジュールに組み込みます。そうする事で、工数の削減にもつながります。
ここは出し惜しみせず、思う存分要求をぶつけましょう。
サイトマップ
サイトマップとは、簡単にいうとサイト内に存在するページのリストです。
リストだとただの箇条書きになりますが、マップというくらいなので、辿り着きたいところに辿り着けるようになっていないといけません。某ネズミさんランドのマップを想像するといいかと思います。
ブログなどがある場合、詳細記事のページは省略したります。要は、そのサイトの構成が誰が見てもわかるようになっていればそれはサイトマップです。そのサイトマップを見ながら、分析・解析・デザイン・構築などをしていきますのでとても大事な作業です。
これは基本的には制作陣が主体で進めて、完成したもの見ながらあーだこーだ担当者と決めていく事が多いです。
スケジュール
このフェーズも大事です。
「できるだけ早く公開したい」「時間かけてゆっくり作りたい」「期限日厳守」など様々ですが、必ずと言っていいほど、落とし所を決めないといけない場面が多いです。
- 作業量に対して納期が短いので段階的に実装していきましょう
- 最悪撮影が間に合わなければこの部分は後日公開しましょう
などの調整が必要なこともあります。
しっかり話し合って決めればトラブルになる事はありませんので、慎重に決めていきましょう。
予算
予算が決まっていれば、その予算内で出来る作業を決めていくことも多いですが、できれば要件を伺い、概算の見積もりを出した後で、稟議を通して調整して頂くのがベストです。
やりたい事と、予算のギャップが最初からあると方向性がぶれてしまう可能性があります。
シルアラードではできるだけ、お客様の想いを実現したいと考えてます。限られた中で考えるよりは実現したい事の規模をまず知って頂き、それが高いのか安いのかを判断してもらえるととても助かります。
体制の確認
体制というのは、これからサイト制作を進めていく上で形成するプロジェクトチームと、決裁権が誰にあるのかの確認などです。
プロジェクトチームは、できれば少人数が良いです。意見がまとまらないと何も進まないので、クリエイティブに富んだメンバー1人と、組織でも発言権がそこそこあり、フットワークの軽いメンバー1人などがベストかもしれません。
加えて、デザインのラフや公開前のテストを見て「これでヨシ」と決定を下す上役が必ずいます。その方は必ず一度は打ち合わせに同席し、制作陣と顔を合わせておきたいです。
もし、修正点があっても、決裁権のある本人の顔や人柄がわかっているとこちらも意見を汲み取りやすくなります。
小規模な企業様であれば、できれば全員と顔を合わせたいくらいです。
技術スタック
何の技術を使用して作るかを決定します。
一見、非技術者にとってはあまり関係ないと思われるかもしれませんが、予算を決定する上でも大事な事です。
例えば、ブログ機能が欲しいと言った場合にも、どれくらい更新頻度なのか、何を投稿したいのか、で使用する技術が変わってきたりもします。使用する技術が違えば、工数も変わりますから、当然見積額も変わってきます。
深くまでしっかりと理解する必要はありませんが、自分の会社のサイトがどんな技術で作られているのかを知っておくのも、愛着が湧く要素の一つと考えていただけたら、制作者は嬉しいかもしれません。
インフラ(組織・仕組み)の確認
ここでいうインフラは、自分の会社の仕事をする環境がどういう仕組みかというところです。
例えば、作ったデザインやサイトを何を使って確認するのか、パソコンか、タブレットか。社内の連絡ツールは何を使用しているのか。社内セキュリティはどうなっているか。稀にGoogle系のツールを使用できないなどある会社さんも存在します。
そのような場合でも、いくらでも対応策は考えますので、その時に一緒に考えましょう。
納品方法
基本的にはサーバーにファイルをアップロードして公開したら納品、というケースがほとんどだと思います。
ただ、先ほどお話にも出したかと思いますが、フェーズごとに公開するなど分割納品になるケース存在しますので、スケジュールを決める際に併せて納品方法決めちゃうのがいいかと思います。
まとめ
Webサイト(ホームページ)制作のまずは要件定義編を書いてみました。
まだまだ制作は始まりません。準備はすればするほどいいものができると思っています。丁寧にしっかり準備して効率よく、素敵なサイトを作りましょう。